原状回復費用の相場は?坪単価とオフィス規模別に解説
オフィス原状回復の費用相場を坪単価・規模別に解説。小規模から大規模まで、見落としやすい項目や減額の余地、見積もりの見方まで担当者目線でまとめた。
- 公開
- 2026-04-25
- 更新
- 2026-04-25
- 読了
- 18分
目次
退去するオフィスの原状回復費用、見積書を初めて開いた瞬間に「ゼロが一個多くないか?」と固まった——担当者ならこの感覚、覚えがあるはずだ。
この記事では、オフィス原状回復の費用相場を坪単価・規模別に整理し、見積書のどこを疑うべきか、相場からどれくらい乖離していたら動くべきかを、現場の温度感込みで解説する。読み終わるころには、手元の見積書を「ただの数字の羅列」ではなく「交渉の材料」として読めるようになっているはずだ。
まず結論から。小〜中規模オフィスの相場は 坪3〜5万円、大規模・ハイグレードビルでは 坪5〜10万円 が現在の目安。ただし、この数字を鵜呑みにすると痛い目に遭う。理由は本文で順に説明する。
💡 自社の見積もりが相場の範囲内か知りたい場合は、原状回復の一括見積もり で複数社の金額を並べて比較するのが最短ルート。
オフィス原状回復費用の坪単価相場
オフィス原状回復の費用は、ほぼ坪単価で語られる。理由はシンプルで、工事範囲が床面積に比例するから。ただし「坪単価3万円」と「坪単価10万円」が同じ業界内で平然と共存している。何が違うのか。
規模別のざっくりした目安
実務でよく耳にする相場感を整理すると、こうなる。
| オフィス規模 | 坪単価の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 小規模(〜50坪) | 3〜5万円/坪 | 一般的な雑居ビル想定 |
| 中規模(50〜100坪) | 4〜7万円/坪 | ビルグレードで変動大 |
| 大規模(100坪〜) | 5〜10万円/坪 | ハイグレードビルは10万円超も |
| ハイグレードビル | 8〜15万円/坪 | 丸の内・大手町・六本木エリア等 |
これはあくまで目安だ。同じ50坪でも、内装をフルカスタムで作り込んだ会社と、居抜きに近い状態でほぼ手を入れていない会社では、撤去工事の量がまるで違う。当然、金額も変わる。
坪単価が動く要因は主に4つ。
ビルのグレード、工事範囲、内装の作り込み度、施工時間帯。この4要素でほとんど説明がつく。
なぜハイグレードビルは高いのか
森ビル、三井不動産、三菱地所などが管理するハイグレードビルでは、坪単価が10万円を超えるケースがざらにある。これは業者がぼったくっているわけではなく、構造的な理由がある。
まず、施工が 深夜・休日限定 になることがほとんど。日中はテナントの営業に支障が出るため、22時以降の作業を求められる。当然、人件費は割増しだ。
次に、ビル指定業者の利用が契約で義務づけられている(B工事と呼ばれる領域)。競争原理が働かないから、価格はビル側のロジックで決まる。
さらに、養生や搬入経路の制約が厳しい。エレベーターの利用時間、廃材の搬出方法、廊下の養生範囲——どれも細かく規定されている。これらは全部コストに乗る。
オフィス原状回復の基本的な仕組みが曖昧な方は、先に 原状回復とは?基礎知識まとめ を読んでおくと、この後の話が頭に入りやすい。
中小オフィスの「坪3万円」はどこから来た数字か
ネットで検索すると「坪3万円」という数字が頻出する。これは雑居ビルの2〜30坪クラス、A工事範囲が小さいケースの実勢価格だ。
ただし注意したいのは、これが最低ラインに近いこと。クロスの張替え、床のCFシート貼替、軽微な間仕切り撤去くらいで終わる物件なら成立するが、会議室を増設していたり、サーバー室を作っていたりすると、簡単に5〜7万円まで跳ね上がる。
「坪3万円で済むはずだ」と最初から思い込むと、相場とのギャップに混乱する。自社の内装をどれだけいじったかが、まずは出発点になる。
A工事・B工事・C工事——区分で費用は決まる
費用の話をする前に、この3区分は押さえておきたい。同じ「原状回復工事」でも、誰が業者を選べるかで金額の柔軟性がまったく違う。
A工事:貸主負担
ビルの躯体・共用部の工事。費用も業者選定もビル側。テナントは基本的にノータッチ。
B工事:借主負担、業者はビル指定
ここが一番厄介な領域。費用はテナントが払うのに、業者はビルが指定する。競争が働かないから、相場より高くなりやすい。
オフィス原状回復で「高い」と感じる金額の大半は、このB工事領域から発生している。空調・防災設備・電気設備・防水周りなど、ビルの設備系に絡む工事はほぼB工事だ。
C工事:借主負担、業者も借主が選定
内装・什器・パーティション撤去など。テナントが自由に業者を選べるため、相見積もりが効きやすく、コストコントロールがしやすい。
同じ「原状回復」でも交渉余地はまったく違う
C工事は3〜4社相見積もりすれば1〜2割は普通に下がる。一方、B工事は指定業者一択なので、価格交渉のロジックが「相場と比べて高すぎないか」を主張する形になる。
このB工事の金額に切り込む手法については、原状回復費用の減額方法まとめ で具体的な交渉手順を整理している。
見積書の落とし穴——「一式」という魔法の言葉
相場の話と並行して、必ず触れておきたいのが見積書の読み方だ。
一式表記が積み上がっていないか
見積書を開いて、まず探してほしいのが「○○工事一式」という表記。これが大量に並んでいる見積書は、要注意。
例えば「内装解体工事 一式 2,800,000円」とだけ書かれていたら、何をいくらでやるのか、外部からは検証できない。数量×単価が明記されていない見積もりは、原則として比較不能だと思っていい。
優良な業者の見積書は、項目ごとに「数量・単価・金額・備考」がきれいに分かれている。クロス張替えなら「○○㎡ × 単価○○円」、床材なら「○○㎡ × 単価○○円」と、後から検算できる形になっている。
単価が市場価格と乖離していないか
仮に明細が出ていても、単価そのものが相場から外れているケースもある。クロス張替えの単価相場は1㎡あたり1,200〜1,800円程度。これが3,000円で計上されていたら、即座に根拠を聞きたい。
「ビル指定品で割高」という回答が来ることもあるが、それなら仕様書と単価根拠の提示を求めればいい。出てこなければ、その項目は交渉の余地ありだ。
二重計上に注意
意外と多いのが二重計上。「解体工事」と「廃材処分費」が別項目で立っていて、よく見ると同じ作業が両方に含まれている、というパターン。
数百万円規模の見積書だと、二重計上が10〜30万円単位で潜んでいることも珍しくない。項目同士の重複を疑う視点を持っておくと、無駄な支払いを避けやすい。
見積書を客観的に診断したい場合は、一括見積もり依頼 で他社の金額・項目立てと並べて比較するのが手っ取り早い。
規模別の費用シミュレーション
ここまでの情報を踏まえて、規模別にざっくりした費用感を出してみる。あくまで目安だが、自社の見積もりが「桁違いに高い」のか「妥当な範囲」なのかを判断する目安にはなる。
30坪・雑居ビルの場合
スタートアップや小規模事業所の典型例。坪単価3〜5万円で、総額は 90万〜150万円 あたりが目安。
会議室を1〜2部屋作っていれば、その撤去で+20〜30万円。サーバー室や独立した受付カウンターを設置していると、さらに上乗せされる。
居抜きに近い状態で退去できるなら、もっと下がる余地もある。逆に、入居時に大幅にカスタムしていれば150万円を超えることもある。
80坪・中規模オフィスの場合
中堅企業の本社や支社レベル。坪単価4〜7万円で、総額 320万〜560万円 が目安。
このクラスになると、空調設備の点検費・原状復旧費(B工事領域)が金額に重く乗ってくる。空調機の部分撤去・配管調整だけで50〜100万円規模になることもある。
中規模の難しさは、B工事の比率が増えること。総額の3〜5割がB工事、というケースもざら。ここに切り込めるかどうかで、最終金額が大きく変わる。
200坪・ハイグレードビルの場合
大企業の本社オフィスクラス。坪単価8〜12万円で、総額 1,600万〜2,400万円。場合によっては3,000万円を超える。
このレンジになると、もはや業者選定の自由度はほぼなく、ビル指定業者との「金額の妥当性」交渉が主戦場になる。減額コンサルや専門業者が活躍するのもこの規模帯だ。
数千万円の見積もりに対して数%でも減額できれば、それだけで百万単位のインパクトが出る。減額交渉のROIが最も高いゾーンと言っていい。
坪単価の相場を別角度から知りたいなら
規模別ではなく、純粋に坪単価の相場感を深掘りしたい場合は、原状回復の坪単価相場 で別の切り口から解説している。
費用が相場より高くなる5つのパターン
「相場と比べて高い気がする」——その違和感、だいたい当たっている。実務でよく見る、費用が膨らむ典型パターンを挙げておく。
1. ビル指定業者の独占 B工事範囲が広く、競争原理が働かない。これは構造的な問題で、テナント側で完全に解消するのは難しい。
2. 契約書の特約が借主に厳しい 「経年劣化分も借主負担」「全フロアをスケルトン戻し」など、民法やガイドラインを超える特約が入っているケース。契約時にスルーされがちだが、退去時に効いてくる。
3. 見積もりが「一式」だらけ 内訳が見えないため、項目単位での交渉ができない。明細化を求めるところからスタート。
4. スケジュールがタイトすぎる 退去日まで余裕がないと、業者比較や交渉の時間が取れず、提示された金額をそのまま飲むしかなくなる。6か月前から動くのが鉄則。
5. 担当者が初めての退去対応 これは構造というより経験の問題。初めての担当者は、何が相場で何が異常値かの判断軸を持っていない。だから外部の知見を借りたほうが早い。
費用負担の原則——どこまで借主が払うのか
相場の話と切り離せないのが、そもそも「どこまで借主が払うべきか」という論点だ。
民法と国土交通省ガイドライン
民法621条では、賃借人は「通常の使用によって生じた損耗」については原状回復義務を負わない、と明記されている。経年劣化や通常損耗は、本来は貸主負担。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」も同じ考え方を示している。
ただしオフィスは特約が優先される
ここがオフィスの厄介な点。事業用物件では契約書の特約が優先されるのが判例の趨勢で、「借主が全面的に原状回復を負う」と書かれていれば、ガイドラインの保護は事実上効きにくい。
そのため、契約書に何が書かれているかが出発点になる。「スケルトン戻し」「全面塗装」「フローリング全面張替え」など、過大に見える条項があれば、契約時点での合意の有無や合理性が論点になる。
法的な紛争に発展しそうなら弁護士に
特約の有効性、原状回復義務の範囲、ガイドラインの適用可否——このあたりが論点化してきたら、法律判断は弁護士に相談するのが筋だ。減額コンサルや工事業者は、法的な助言を業として行うことはできない(非弁行為のリスクがあるため)。
「金額の妥当性検証」と「法的な権利主張」は、別レイヤーの話として整理しておきたい。
費用を抑える現実的な打ち手
最後に、相場を踏まえた上で「実際に何をすれば費用を抑えられるか」を整理する。
相見積もりを取る(C工事領域は必須)
C工事範囲は、3社以上の相見積もりがほぼ必須。1社だけの見積もりで判断するのは、相場を知らないまま価格交渉のテーブルに着くようなものだ。
価格差が出やすいのは、解体工事・廃材処分・内装復旧の3項目。ここだけでも数十万単位で差が出る。
B工事は「金額の妥当性」を第三者に検証してもらう
B工事は業者選定ができないため、相見積もりではなく第三者による金額検証が現実的な打ち手になる。減額コンサルや、工事費用に詳しい専門業者がこの領域を担う。
成果報酬型のコンサルなら、減額できなければ費用は発生しない契約も多い。リスクを抑えて使える選択肢の一つだ。
退去スケジュールを前倒しする
繰り返しになるが、時間がないと交渉できない。解約予告(多くの場合6か月前)を出した直後から、並行して見積もり依頼を進めるのが理想。
スケジュールに3か月以上の余裕があれば、業者比較・項目精査・交渉の時間が確保できる。
必要なら専門家に相談する
工事規模が大きく、自社だけでは手に負えないと感じたら、外部のリソースを使う判断も合理的。減額コンサル、不動産専門の弁護士、退去支援を専業にしている業者——目的に応じて使い分ければいい。
次のアクション
ここまで読んで、自社の見積もりが「相場の範囲内なのか」が気になっているはず。判断する一番速い方法は、他社の見積もりと並べて比較することだ。
原状回復の一括見積もりを依頼する と、複数の専門業者から見積もりが届く。項目立てや単価を比較するだけでも、自社の見積書のどこに違和感があるかが見えてくる。
「金額が高いかも」と感じた段階で動くのが、結局は一番安く済む。退去日が近づくほど、交渉の選択肢は減っていく。早めに動いておきたい。
よくあるご質問(FAQ)
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