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原状回復とは?オフィス退去前に総務担当者が押さえる基礎知識

オフィスの原状回復の定義・法的根拠・工事区分(A/B/C)を、現場の判断にそのまま使える形で整理。退去通告前に押さえる基礎を15分で。

公開
2026-04-25
更新
2026-05-01
読了
13
目次
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オフィスの退去で必ず登場するのが「原状回復」。 契約書をめくると専門用語が続き、工事区分の境界線は曖昧、相場感もない——総務担当者が初めて関わると、判断材料の少なさにまず戸惑う。

この記事はその入口を整理する。退去通告前に押さえるべき基礎を、現場でそのまま使える形でまとめた。

結論を先に書く。

  • オフィスの原状回復は「契約上の義務」だが、負担の範囲と金額は交渉余地がある
  • 工事は A工事(貸主負担) / B工事(借主負担・貸主指定業者) / C工事(借主負担・業者選定自由) の3区分
  • 退去通告の3〜6ヶ月前から動けば、平均30%、規模次第で40%超の減額も狙える
  • まず動くべきは「契約書の特約条項を読み返す」こと。次に「相見積もり」

末尾に退去90日前のアクションチェックリストを置いた。本文を読む時間がないなら、そこだけでも見てほしい。

退去日まで時間が無い場合は、一括見積もり(30秒)から動くと最短で相場が見える。

1. 原状回復とは何か

「原状回復」は、借主が退去時に物件を「借りていた状態」へ戻す義務のこと。住宅賃貸でも使う言葉だが、オフィスでは特約による負担範囲の拡張が当たり前で、住宅とは別物として理解しておく必要がある。

1-1. 契約上の義務であって、貸主が裁量で決める金額ではない

最初に誤解されがちなのがここ。原状回復は契約上の義務であって、貸主が「これだけ払え」と裁量で金額を決められるものではない。 工事内容は契約書の特約条項に従い、金額は市場の相場と国交省ガイドラインに照らして妥当性が判断される。

つまり、「契約書に書いてあるから黙って払う」必要はない

1-2. 法的根拠は民法と国交省ガイドライン

法律としての根拠は民法621条(賃借人の原状回復義務)にある。 ただし民法だけでは判断できないグレーな部分が多く、実務上は国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が事実上の判断基準として参照される。

ガイドラインは住宅向けに作られたものだが、オフィス賃貸の判例でも繰り返し引用されている。「通常損耗は貸主負担」という基本原則もここから導かれている。

1-3. オフィスの賃貸借契約には特約が積まれている

ここがオフィス特有の難所。 契約書には「スケルトン戻し」「貸主指定業者によるB工事」「クロス・タイルカーペットは借主負担で全面張替」などの特約が積まれているのが普通だ。

特約があるからといって全てが自動的に有効になるわけではない。消費者契約法・判例上の限界を超えれば無効と判断される余地もある。ここを知っているかどうかで、交渉の入口が変わる。

2. A工事・B工事・C工事の違い

オフィスの工事は、発注者と費用負担の組み合わせで3つに分かれる。

区分発注者費用負担業者選定代表的な工事内容
A工事貸主貸主貸主が選ぶ共用部・建物躯体・防災設備本体
B工事借主借主貸主が指定専有部の電気・空調・防災・防火区画
C工事借主借主借主が自由に選定内装造作・什器・OAフロア撤去

2-1. B工事が高額になりやすい構造的理由

B工事は貸主指定業者の独占案件になりやすく、競争が働きにくい。結果として見積額が市場価格より2〜3割高くなる傾向がある。減額交渉の主戦場はここだ。

ただし「指定業者は変えられない」=「金額も変えられない」ではない。 別ルートで相見積を取り、価格妥当性の根拠を作って交渉すれば、提携実績では指定業者ありでも平均25〜30%の減額に成功している。詳しくは原状回復費を30%減額する4つの実務手法で解説している。

2-2. C工事は競争で適正化できる

C工事は借主が業者選定の自由を持つ領域。素直に相見積もりを3社取れば、20〜30%の単価差はすぐに見える。原状回復のうちC工事に該当する部分は、専門コンサルや原状回復業者の活用余地が一番大きい。

2-3. 工事区分は「精査するだけ」で減額になる

意外と見落とされがちなのが、B工事として計上されているが本来A工事に該当する項目

天井裏の共用配管、防災設備の本体、空調機の大型修繕など、共用部に紐づく工事は原則A工事(貸主負担)。これがB工事に紛れ込んでいるケースは少なくない。 専門家と一緒に見積を1行ずつ精査するだけで、数十万〜数百万単位の減額が出ることがある。

3. 国交省ガイドラインで押さえる5つの原則

オフィスでも判例で繰り返し参照されるガイドライン。とくに以下の5点は知っておきたい。

  1. 通常損耗は貸主負担:壁紙の経年劣化、床の自然な摩耗などは借主負担にならないのが原則
  2. 特別損耗のみ借主負担:故意・過失による損傷、または通常使用を超える使い方による損耗
  3. 経年劣化は減価償却で考える:6年経過した壁紙は残存価値ゼロに近い扱いになることが多い
  4. 特約があっても判例の限界を超えない:「通常損耗も借主負担」と書いてあっても無条件に有効ではない
  5. 証拠は写真で残す:入居時の引渡状態を写真で記録していれば、その状態が「原状」の基準になる

詳細は原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省)を参照。実務で使える章は「Ⅱ. トラブルの未然防止」と「Ⅳ. 原状回復の費用負担」あたり。

4. 退去90日前から逆算する総務のアクション

「原状回復は知っている。けれど何から動けばいいかが分からない」——典型的な状態。 逆算で動くと、迷いが減る。

4-1. 退去6ヶ月前 〜 90日前:情報収集と査定の準備

  • 賃貸借契約書を取り出して、特約条項の「原状」「原状回復」「指定業者」「スケルトン」のキーワードを全部マーカー
  • 入居時の引渡状態の写真を探す(無ければ早めに貸主から契約時資料を取り寄せる)
  • 専有面積と物件グレードを把握し、原状回復の坪単価相場で自社のレンジを当てる
  • 提携業者からの相見積もりを取得して、相場感を持つ

4-2. 退去90日前 〜 60日前:交渉の準備

  • 指定業者から提示された見積書を1行ずつ精査
  • B工事に紛れている可能性のあるA工事項目をリストアップ
  • 専門家(原状回復コンサル)への相談タイミング

4-3. 退去60日前 〜 30日前:交渉の実行

  • 相見積もりを根拠資料として貸主・指定業者に提示
  • 工事区分の見直しを書面で要請
  • 妥協ラインの設定(金額・工期)

4-4. 退去30日前以降:契約条件の確定

  • 工事内容・金額・工期の最終合意を書面化
  • 工事中の現場立会の予定を確保

ここを退去30日前から始めると、ほぼ交渉カードがゼロになる。「時間が無い」がそのまま値段に乗る。早めに動くのが、結局いちばん安い。

迷ったら一括見積もりから始めれば、相場感と動き始めの最初の1社がそろう。

5. よくある誤解 3つ

誤解1:契約書に書いてあるから提示金額を払うしかない

半分正しく、半分誤り。契約上の支払い義務はあるが、金額の妥当性は別論点だ。 相見積もり・査定を根拠に減額交渉する余地は十分ある。提携8社の交渉実績では、平均30%、最大40%超の減額に成功している案件が出ている。

誤解2:指定業者は断れないから交渉しても無駄

業者そのものの変更は契約上難しいことが多い。が、見積額の交渉は可能。 相見積もりを「比較資料」として提示することで、指定業者側に値下げ圧力がかかる。提携実績では指定業者ありでも7割超のケースで10〜15%の値下げが出ている。

誤解3:原状回復=スケルトン戻し

これも条件次第。契約書に「スケルトン戻し」と書かれていない限り、入居時の状態に戻すのが原状であってスケルトン化は不要。スケルトン戻しの特約があっても、過度な範囲は判例上無効とされる余地がある。 契約書を読み返す価値はここにある。

6. 退去で揉めやすい7つのトラブル類型

実際に起きやすいトラブルは大きく7類型。 詳しくは原状回復トラブル事例10選で具体例を解説している。要約だけ置く。

  1. 指定業者の見積が相場の2倍
  2. 「スケルトン戻し」の解釈で揉める
  3. 通常損耗まで借主負担に積まれる
  4. 退去日に間に合わず追加賃料を請求される
  5. 敷金が返金されない
  6. 工事中の追加請求
  7. 解約予告期間の特約で違約金

7. 次のアクション

ここまで読んでもらえた人は、もう「何が分からないのかが分からない」状態は脱している。

具体的に動き始める順番はこの3つ。

  1. 契約書の特約条項を読み返す(とくに「原状」「指定業者」「スケルトン」「通常損耗」のキーワード)
  2. 一括見積もりで相場感を取りに行く(30秒入力、登録不要)
  3. 必要に応じて減額交渉の4手法業者ランキング で動き始めの専門家を決める

提携している8社の中には、成果報酬型・査定レポート定額型・大規模特化型など、案件サイズに応じて選べる体制がある。500万円を超える案件は、自社交渉より専門家依頼の方が経済合理的なケースがほとんどだ。

退去で揉める案件の共通点は1つ。「動き始めが遅かった」だけ。 今動けば間に合う。

よくあるご質問(FAQ)

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