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オフィス退去の流れ完全ガイド|段取りと期限の全体像

オフィス退去の流れを時系列で解説。解約予告から原状回復、明渡しまで、総務担当者が押さえるべき段取りと期限を実務目線でまとめた。

公開
2026-04-25
更新
2026-04-25
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20
目次
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オフィスの退去は、引越しの段取りとは比較にならないほど重い。解約予告、原状回復の見積もり、什器の処分、ネットワークの撤去、明渡し——やることが多層的で、しかも一つでも遅れると賃料の二重払いに直結する。

この記事では、退去決定から明渡し完了までの流れを時系列で整理した。総務担当者が「次に何をやるべきか」を迷わず判断できる粒度でまとめている。費用の話は別記事に譲り、ここではあくまで段取りとスケジュールに絞った。

退去の意思決定をしたばかりの方は、まず原状回復とは何かを押さえたうえでこのガイドに戻ってくると、全体像が立体的に見えてくる。

オフィス退去の全体像:6ヶ月前から動くのが基本

結論から言う。オフィス退去は6ヶ月前から動く。これが鉄則だ。

理由はシンプルで、賃貸借契約書に書かれた解約予告期間が「6ヶ月前」のケースが圧倒的に多いから。住宅の賃貸が1〜2ヶ月前予告なのに対し、事業用不動産は段違いに長い。

この6ヶ月という時間は、貸主に次のテナントを探す猶予を与えるためのもの。同時に、借主にとっては原状回復工事の段取りを整える時間でもある。

退去までの典型的なタイムライン

時期主なアクション
6ヶ月前解約通知書の提出/指定業者へ見積もり依頼
5ヶ月前移転先の決定/原状回復見積もりの精査開始
4ヶ月前相見積もり・コンサル交渉/什器リースの解約手続き
3ヶ月前工事内容の最終確定/引越し業者の選定
2ヶ月前移転スケジュール作成/ネットワーク・電話の移設手配
1ヶ月前引越し実施/原状回復工事の着工
退去日明渡し立会い/鍵返却

これはあくまで一般的なモデルケース。50坪のシンプルなオフィスならもう少し圧縮できるし、200坪超で内装造作が多いと逆に8ヶ月かかることもある。

「6ヶ月あれば十分」は誤解

実務をやっていると分かるが、6ヶ月は意外と短い。

特に詰まりやすいのが、指定業者から最初の見積もりが出てくるまで。依頼してから2〜3週間、長いと1ヶ月半かかることがある。さらに金額交渉に入ると、やり取りに1〜2ヶ月。気がつけば工事着工まで2ヶ月を切っている、という状況になりやすい。

だから「解約予告を出してから考える」では遅い。意思決定の段階で、原状回復のことも視野に入れておくのが理想だ。

複数業者から無料で見積もりを取れる一括見積もりを使えば、初動の数週間を短縮できる。指定業者の金額が出る前に、相場感を掴んでおくのは有効な手だ。

ステップ1:契約書の解約条項を確認する

すべての出発点は契約書の確認。これを飛ばすと、後で必ず痛い目を見る。

確認すべきポイントは4つ。

解約予告期間——「賃料の◯ヶ月前までに書面で通知」という条項。3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月とバリエーションがある。書面のフォーマットが指定されていることもある。

原状回復の範囲——「契約締結時の状態に戻す」と書かれているか、「スケルトン返し」と明記されているか。スケルトン返しの場合、入居時に造作されていた壁や床まですべて撤去する必要があり、費用が跳ね上がる。

指定業者の指定——「貸主の指定する業者に発注する」と書かれていれば、原則そこに従う必要がある。指定業者に関する記述がなければ、相見積もりの自由度はぐっと上がる。

違約金条項——途中解約や期日遅延の場合のペナルティ。契約期間内の中途解約だと、残期間の賃料数ヶ月分を違約金として請求されるケースがある。

「分からない」まま進めない

契約書を読んでも判断がつかないことは多い。法務部があれば相談、無ければ顧問弁護士に確認するのが安全だ。

特に「原状回復の範囲」をめぐる解釈は、後々のトラブルの火種になりやすい。条文の文言だけで判断せず、入居時の写真や入居前の図面と突き合わせて、どの範囲を「元に戻す」のかを明確にしておく。

法的な解釈で迷ったら、独断は禁物。必ず弁護士に相談を

ステップ2:解約通知書を提出する

契約書の確認が済んだら、解約通知書を作成して貸主(または管理会社)に提出する。

通知書のフォーマットは、契約書に雛形が添付されていることが多い。無ければ自社で作成する。記載する内容は次のあたり。

  • 解約日(明渡し予定日)
  • 物件の特定情報(所在地・部屋番号)
  • 賃借人の名称・代表者名
  • 通知日

郵送する場合は配達証明付き内容証明郵便で送るのが確実。「届いた/届かない」の水掛け論を避けられる。手渡しの場合は、貸主側の受領印をもらうこと。

解約日は月末がスムーズ

多くの賃貸借契約は月単位で賃料を計算する。解約日を月の途中にすると、最終月の賃料計算が日割りになって複雑化することがある。可能なら月末解約で揃えておくのが実務上ラク。

ただし、移転先の入居日との兼ね合いで月をまたぐ場合は、二重賃料の発生期間をできるだけ短くする調整が必要になる。

ステップ3:原状回復の見積もりを取る

解約通知を出したら、すぐに原状回復の見積もりに動く。これがいちばん時間も金もかかるパート。

指定業者の見積もりを依頼

ビルに指定業者がある場合、まずはそこへ依頼する。連絡ルートは管理会社経由が一般的。

依頼時に伝えるべき情報は——

  • 解約日
  • 工事希望期間
  • 図面(入居時の竣工図、現況図があれば両方)
  • 撤去対象の特記事項(什器、電気工事、サイン類など)

見積もりが出てくるまでに2〜4週間。出てきた見積書は、項目ごとに単価×数量×金額が並んだ形式が多い。

見積書の精査ポイント

ここで見るべきは、金額の総額ではなく内訳。

  • 「一式」表記が多すぎないか
  • 数量(㎡、m、箇所数)の根拠は明記されているか
  • 単価が市場相場と乖離していないか
  • 入居時に存在しなかった造作の撤去費が混ざっていないか

特に「一式」が並んでいる見積書は危険信号。何にいくらかかっているのか分からないまま支払うと、相場の1.5〜2倍を払っているケースが普通にある。

坪単価の相場感はオフィス原状回復の坪単価相場にまとめてあるので、自社の見積もりが妥当かどうかの目安になる。

コンサル・第三者業者の活用

指定業者の見積もりに納得がいかない場合、原状回復コンサルタントや第三者業者に精査を依頼する選択肢がある。

完全成果報酬型のコンサルなら、削減できなかった場合の費用負担はゼロ。減額分の30〜50%程度を成功報酬として支払うモデルが多い。費用感や具体的な手法は原状回復費の減額手法で詳しく扱っている。

ここで動くべきタイミングは、指定業者の見積もりが出てきた直後。工事着工まで2ヶ月を切ると、交渉する時間的余裕が無くなる。

ステップ4:移転先の手配と並行作業

退去側の動きと並行して、移転先の選定・契約・内装工事も進める。総務担当者にとってはここが最大の負荷ポイント。

引越し業者の選定

オフィス専門の引越し業者を選ぶこと。住宅引越し業者だと、什器の養生やネットワーク機器の取り扱いに不安が残る。

選定時に確認すべき項目——

  • オフィス引越しの実績件数
  • 土日・夜間作業の対応可否
  • 養生の範囲(エレベーター、廊下、エントランス)
  • 廃棄物処理の対応

見積もりは3社以上から取るのが基本。坪単価ベースで比較すると、業者間で2倍以上の差が出ることもある。

ネットワーク・電話の移設

意外と忘れがちで、しかも復旧に時間がかかるのがインフラ系。

光回線の移設工事は、申込みから工事完了まで1〜2ヶ月かかる。電話番号の移転(特に固定電話)も同程度。遅くとも2ヶ月前には手配を始めておかないと、移転日に電話が通じない事態になる。

複合機・サーバー・セキュリティシステムなどのリース機器も、契約書を確認して移設手続きを進める。

什器・備品の処分

不要な什器をどう処分するかも重要なテーマ。

選択肢は3つ。産廃業者に引き取ってもらう(費用発生)、買取業者に売却する(少額だが収入になる)、移転先に持ち込む(運搬費がかかる)。

製造から5年以内のオフィス家具なら、買取が成立しやすい。古いものは産廃ルートになる。混在している場合、買取と廃棄を別々に手配することになる。

ステップ5:原状回復工事の着工と進捗管理

工事内容と金額が固まったら、いよいよ着工。とはいえ、丸投げにはできない。

工事スケジュールの確認

着工前に、工程表を業者に出してもらう。確認するのは——

  • 着工日と完了予定日
  • 工程ごとの作業内容(解体・電気・内装・清掃)
  • 立会いが必要な日程
  • 騒音・振動が発生する日(隣接テナントへの影響)

完了日が明渡し日ギリギリだと、手直しが発生したときに対応できない。最低でも明渡し3日前には完了するスケジュールを組んでおく。

工事中の追加発注に注意

工事が始まると、現場から「ここも撤去が必要」「想定外の劣化があった」という連絡が入ることがある。

ここで安易に追加発注を承認すると、最終金額が見積もりから2〜3割膨らむことが珍しくない。追加項目は必ず書面で見積もりを取り直し、貸主側の確認も取ったうえで判断する。

口頭での「了承」は後でトラブルの元。メールでも書面でも、記録に残る形でやり取りする。

ステップ6:明渡し立会いと鍵返却

工事完了後、貸主・管理会社・施工業者の三者で明渡し立会いを行う。

立会いでチェックされること

貸主側がチェックするのは、契約書に書かれた「原状」に戻っているかどうか。具体的には——

  • 床・壁・天井の状態
  • 設備機器の動作確認(空調、照明、コンセント)
  • 鍵の本数(合鍵を含めた全数)
  • 残置物の有無

ここで指摘事項があれば、再工事の必要が出てくる。完了予定日を明渡し日ギリギリに設定していると、この再工事が間に合わずに賃料が延長発生する。

立会いは1〜2時間程度。指摘事項は必ず書面(チェックシート)で記録を残してもらう。

鍵返却で完了

問題なければ、鍵を全数返却して明渡し完了。これでテナント側の義務は終わる。

返却した鍵の本数と日時を、書面で確認する。後で「鍵が足りない」と言われないように。

ステップ7:敷金の精算と最終確認

明渡しが終わっても、まだ最後の段階が残っている。敷金の精算だ。

敷金返還のタイミング

契約書に「明渡し後◯ヶ月以内に返金」と書かれていることが多い。一般的には3〜6ヶ月後

オフィスビルの敷金は賃料の6〜12ヶ月分が相場で、金額として大きい。原状回復費用が敷金から差し引かれた残額が返ってくる。

精算書の確認

返金前に貸主から精算書が送られてくる。ここで確認するのは——

  • 原状回復費用の内訳
  • 未払い賃料・共益費の有無
  • 利息(敷金に利息が付く契約の場合)

金額に納得がいかない場合、すぐに支払いを承諾せず、内訳の説明を求める。場合によっては弁護士を通じた交渉になることもある。

半年以上経っても返金や精算書の連絡が無い場合は、書面で督促する。

よくあるつまずきポイント

最後に、現場でよく起きるトラブルを並べておく。

解約予告期間の見落とし——契約書を読まずに「3ヶ月前でいいだろう」と判断して通知を出し、6ヶ月前予告だったために違約金が発生するパターン。最初に契約書を必ず確認する。

指定業者の見積もりを鵜呑みにする——「指定業者だから仕方ない」で全額支払い、後で相場の倍だったと知るパターン。金額の妥当性検証は、指定業者でも必要。

追加工事の口頭承諾——「現場で言われたから」で追加を認め、最終請求が見積もりから3割増しになるパターン。追加は必ず書面で。

ネットワーク移設の遅れ——移転先で初日からネットが使えない、電話が通じないパターン。インフラは2ヶ月前から動く。

什器処分の見積もり漏れ——原状回復の見積もりに什器処分が含まれているか確認せず、別途請求を受けるパターン。見積書の項目を細かく確認する。

どのトラブルも、事前の確認と書面化で防げるものばかり。逆に言えば、確認を怠ると確実に発生する。

次のアクション:まずは見積もりで相場を掴む

オフィス退去の流れは、6ヶ月前の動き出しが鉄則。そして、その初動でいちばん効くのが原状回復費用の相場感を持つことだ。

指定業者の見積もりが出てから慌てて比較対象を探しても、もう交渉時間が残っていない。先に相場を押さえておけば、見積もりが出た瞬間に「高い/妥当」の判断ができる。

原状回復ナビの一括見積もりでは、複数の原状回復業者・コンサルから無料で見積もりを取れる。指定業者の金額が出る前に動いておくと、その後の交渉が圧倒的に楽になる。

退去は段取りの勝負。早く動いた担当者が、必ず得をする。

よくあるご質問(FAQ)

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